オリーブも含めて

2011.11.18 5:55:25

イタリアのベストセラー文学、
アンドレア ヴィターリ(AndreaVitari)著 久保耕司訳の

オリーブも含めて

よみはじめました。つまり読み終わっていないのです(笑)
舞台は第二次世界大戦前のイタリアのベッラーノという町。
で自転車のうでが外れて兄が命を落とすシーンでは、大好きなイタリアの映画「ラストラーダ」にでてきた大道芸人たちの姿を思い出しました。

帯には「ユーモアとミステリーに溢れた読み出すと止まらない ジェットコースターノベル登場!」となっていますが、私にとってはあえて就寝前にスコシづつゆっくり読みたい本。


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物語の展開は確かに早いのですが、ひとつひとつの出来事は 登場人物らの立場になると大変切実な問題で、色んな立場にある人たちの色んな切実さが、次々にあるいは平行して存在していてそれがひとつの絵の中に全部書き込まれている感じがします。
曼荼羅の模様を一部分づつみていて、一部だけでも見応えのある模様だから全体像わからなくても見ていてその部分ごとに楽しいみたいな感じ。
全部がいっぺんに見えないということがストレスにならないのです。
でもきっと全部見たときにまた感動があるんだろうなとワクワクしています。

どの話に一番留意しておくべきなのか、最後までわからないのがミステリーなのでしょう!
そして実際、色んなことがいっぺんにあちこちで起きている事象は現実社会もそうなはずなのですが、文にされてみるとびっくりするのですね。事象を均等に扱うというのは難しいことだし珍しいとも思います。

なにかを切り取ってハイライトをつかんでおけばなんとか筋を把握できるタイプの本ではなく、
すべてのページを一行づつ読んでいくのが楽しいと思わせてくれる一冊なのです。
最近パッととにかくガンガンとりあえず読んどくよ!的な読み方をしてきましたが久々ゆっくり読みたい本に出会った気がします。
自分が常に「即、使い物になる情報をえること」ばかりを目的にしていたから
読む時間そのものを楽しめなくなってたことに気がつきました。


赤裸々なものは時として生臭いというか気分を選ぶものにもなると思いますが、「わけあり」な人たちが軽妙なユーモアで表されているのでつかれないというか、
読んでいると肩から力が抜けます。安らぐんです。。

また、訳書って訳注が章ごとの後ろに
「*15当時の○○令に使われていた○○」とか参考文献一覧みたいに別記されているものがありませんか?

私の場合もうその*訳注的なページにたどり着いたときには、わからなかった言葉の意味とか
すでにどうでもよくなってるんですよ(笑)。

こちらは、
「これってなんのこと?」
と思うとすぐ後にに説明が〔〕内に小文字で記されているので、いちいちページめくって行ったり来たりしなくてもいいのが嬉しいです。
そのような工夫もされているので帯どおり、ジェットコースター読みしたい方にもおすすめできます(笑)

光栄なことに訳者様より謹呈されましたが、買い求めて、あえて忙しそうな人にプレゼントしたくなる本(笑)です。

発行シーライトパブリッシングより。
http://www.c-light.co.jp