クラシックに狂気を聴け

2011.12.22 3:09:41

光文社新書から今冬出版された
『西洋音楽論 クラシックに狂気を聴け』
を読んでいます。

西洋音楽の基本はアフタービート。裏拍が強いとし、

四拍子の1、2、3、4を
『強 弱 中強 弱』
と教わってそのままやってると、
外人さんイントネーションの日本語の逆で

日本語イントネーションの外国語に聞こえてしまいますよ。
というお話のようです!

でも確かに、海外な人の音(プロのオーケストラやソリストのみではなく、学生さんとかアマチュアのブラスバンドとかも含む)を思い出すと、音の大小、楽器のうまいへたではなくて、
比較すると
裏拍をやんわり(笑)扱ってる人は日本には多分、ヨーロッパよりは多い気がします。けして全員がそうではないけど。


また、ブラームスの肖像画で髭を携えた中高年時代のものがよく使われているのはイメージ戦略としては成功かもしれないけど、実際若い時代は渋いおじさんではなく全く青年的な容姿だったこと。

同じブラームスでも若い時代の作品なのに渋いおじさまの作ったものみたいなイメージでとらえがちではないか、
これを裏付けるブラームスのヴァイオリンソナタをブラームスがピアノ伴奏したときのポスターでの楽曲表記などがアナリーゼの道具として写真が載っていたりします。


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また年末といえば第九(ベートーヴェンのね)
四楽章で登場するトライアングルやシンバルがトルコ音楽の影響を受けているけど、それはアフタービートでなくトルコ風(東洋風)の行進曲なのでオンビート。

そして
『すべての人類は兄弟になる』とシラーの詩が改変されてから作っている曲だから、

ベートーヴェンは人生最後のシンフォニーで“すべての人類” に東洋を包括する気持ちを示したのではないかというお話で、日本で第九が大人気なのは

オンビートなので付き合いやすく、

その音楽から、
『東洋を上から目線な東洋趣味(笑)でかたづけていない西洋人』
の姿が見えるからかもしれませんね。

税別740円。手にとりやすい価格ですしお部屋で第九を聞きながら読むのも楽しいと思います。

アウフタクトを大切に!とか言葉だけは丸暗記してます(笑)がなぜそうなのか資料と照らし合わせて
『クラシックをゼロベースでとらえる』ことに興味がわく一冊です。