十勝の旅(11月11日~12日)

2008.11.12 22:16:49

今夜は十勝の池田でステージがある。
準備をして音響さんと午前11時(11月11日11時)札幌を出発した。

トマムから高速道路(宗男道路)に乗ると、たぶん一年でもっとも空気が安定しているせいだろう、100キロ先まで見渡せる最高の眺めが広がった。
左右には雪を頂いた崇高な景色。右は日高山脈、左はトムラウシ山(2141)・忠別岳(1963)・石狩岳(1967)・二ペソツ山(2013)・ウペペサンケ山(1843)。
とにかく空は真っ青、かすみなし、文句ない十勝晴れだった。

午後3時30分太陽が西に傾き十三夜らしいお月様が昼間だというのに真っ白く顔を出した。
シンジラレナイ!元日ハム監督が叫んだ言葉が自然と出てきた!
真っ白な円に近いお月様、しかも昇りたての大きさは二倍以上にも感じた。

そんなお月様に、なんとウサギが見える。
札幌・東京で夕方に白い月が昇ることは見ていたが、ウサギがくっきり見えるのは記憶にない。
しかも西の日高山脈の上には太陽がしっかり輝いている時間に。
「そうよ夕方の月にもちゃんと模様はついているわよ!」ばっかみたいと言われそうな気がした。
しかし、馬鹿みたいと言われても感動したことに変わりはない。
「本当に真昼間からウサギがしっかり見えたんだ」と!。

私は18才まで十勝の浦幌に住んでいた十勝人だ。
日高山脈の向こうに人間が生きてることを知った幼い時、映画の入場券を中人・小人といって買っていた時、
毎日の当たり前の風景の価値にはまったくといって無頓着だった。
冬が来る前のこの時期、100キロ先の日高山脈、しかも襟裳岬までもが高校の教室から何気なく見えていた。
でも、「この風景は絵になる」、「こんな空が90%を占める風景は日本にはない」と思ったのは十勝を出てからだった。

今の宇宙は科学的に六次元、いやそれ以上の次元で成り立っている・・・そうだ。
でも一次元前の世界からは決して認識できる事はない。
数学的な式を見せられてもどんなに微分方程式を突きつけられても理解に苦しむが、今日改めて日高山脈の向こうから見る世界と内側から見ていた世界の認識の違いを突きつけられた気がした。

本番前、楽屋の窓から水平線上に夕焼けが現れた。遠くに日高山脈のシルエット、近くにハル楡のシルエット、一番星がきれいに光って絵に収まった。


十勝の夕焼け2008.11.11 NO292web.jpg


こんな風景を目の当たりにして、今日のLIVEがうまくいかないはずがなかった、十勝平原の真ん中なのだから。