安井かずみ

2009.10.20 21:50:50

昨日、安井かずみの事を思い出して、久しぶりに「空にいちばん近い悲しみ」を読み返した。

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彼女31才の時のエッセイ集だが、年齢がひと回り上だった彼女の「かっこよさ」も蘇った。
1967年ローマで青年実業家と結婚、1968年ニューヨークで離婚後1969年からパリに住んで日本と往復していた時のエッセイだ。

   <空にいちばん近い時間>

   あなたと一緒にいる時間より
もっと好きなことが世の中にあるかしら
   いつも夢の中ですぎるよう
        それに
   道はいつも十字路があって
  公園ともうひとつの公園があって
  街灯がきれいな影を落としていて
     ・・・・・・・・

  私がなぜおそくなったのかときくの
  音楽とシャトゥルーズがあって (たぶんchartreuseリキュール)
疑い深かそうに私を見つめているけど
     何も質問はしないで
   ただ きれいだって言うの
    愛は在りそうにもなくて
いたずらで バカげて たえられなくて
    くだらないかもしれない
   愛はいつもグロテスク・・・
   ほんとうに いつもうそつきで
決して思うように思えたとおりのことはない
     いつもまちがえるの
  それはとても魅力的で打たれる
 だから愛はいとおしい迷い子みたい
     ・・・・・・・・

   <空にいちばん近い悲しみ>

      悲しみ 発熱 孤独
   命と 生きることから遠く離れて
     夢の半分と嫌悪の半分と
今日まで これといって何もしてこなかった
   しようと努力しなくちゃいけない
    白い色と ロンドンが好きで
  ・・とても悲しいことと絶望がきて
       すぎていった
  英語を英国のアクセントで話しても
      まるで気にかけない
    自由が欲しい 理由が欲しい
       でも何もない
すべてのものはグラニティクス・ア・トリップで買う (ロンドンの伝説のブティック)
     誰かが思い出してくれたら
  二 三行でいいから手紙を書いてあげて
    人々はとても親切に通りすぎる
    時間はとても不親切に通りすぎる
      愛することもこわくて
       嫌うこともこわくて
        何も出来ない
        でもあなたは
    明日を生きるには充分に美しい
    でも今日に死ぬ程は美しくない

どうしたらこんなかっこいいエッセイが書けるのかとあこがれた。
1977年7歳年下の加藤和彦と結婚した。

彼女はよく村井邦彦(エメラルドの伝説がデビュー)と組んで作詞をしていた、当時はトワエモアやタイガーズにも曲を書いていた。
(村井邦彦の奥さん大橋一枝も作詞家で、私の3枚目のシングル「泣かないで」の訳詩をしている)

あの頃(私の大学時代)の音楽シーンの思いでは語り始めたらキリがないようだ!。

10月20日の紅葉
山の頂上辺りから枯葉となって散り始めていた。
昨日がベストデイだったようだ。

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