オルゴール

2008.11.10 11:16:41

オルゴールといえば私の子供の頃、母や姉の持っている宝石箱などを開けた時に聞こえた「エリーゼのために」や「乙女の祈り」の思い出が甦ってくる。
年齢や性別でもきっと違う曲ではあるだろうが一度はその音色に夢中になり、メカニックの不思議さに心を奪われた経験があるはずだ。

最近ではすっかり忘れてしまって、クリスマスカードや贈り物などに電子音で簡単に組み込まれた音で馴れてしまってさえいた。

今月、作詞・作曲の依頼を受けた際、その曲をオルゴールにしたいと注文を受けた。
北海道の小樽には何軒かオルゴールの店があり、ネットで調べたらオリジナルも作ってくれると知ったので気持ちよく受け、曲も出来上がった。
ところが12月の誕生日に贈りたいオルゴール、急いでも来年になると断られてしまった。
途方にくれて店内を見渡してみると、紙に音符で穴を開け手で回す、まさにオルゴール発祥のオルガニートという楽器に目が行った。
自分で作るしかないか!と心に決めにわか勉強が始まったが、意外と大変だと思った時にはもう遅かった。

譜面をパンチして穴を開ければと簡単に思ったのが誤りだった。
自分は凝り性だということを忘れていたのだ。

すばらしい編曲をと譜面を書いた1回目は、伴奏がうるさすぎてメロデイーが埋没してしまい失敗。逆をやった2回目はつまらなくて失敗。
穴を開けるのも音符の数だけ空けるのだから簡単な作業ではなく何時間もかかるのだ。
しかも楽器の性格上、同じ音を続けてはいけなかったり約3オクターブある譜面をまんべんなく使わなくてはいけない。更に、オルゴールらしいトレモロやリットを紙一枚に穴で表現しなければいけない。

ここから自慢が始まる。
わずか数日でそのすべての技術を会得したのだ(疲れた!)。

今日から私の事をオルガニート技術者と呼んでほしい。
演奏家ではない、演奏家はゼンマイか機械を回す人なのだから。

今さらこんな技術、覚えてどうするの・・・!
作曲したうえにオルガニート作り、決して食べてはいかれそうもない。