バンド維新2012in札幌 作曲家によるレクチャー公開練習及び作品発表

2012.06.26 0:51:44

昨日、浜松市の自主開催で2008年に始まった「バンド維新」が札幌に初登場とのことで見学に行ってきました(^^ゞ

いろんなジャンルの作曲家さんが、小編成のアンサンブルを自由に作曲したものを 中学生や高校生が演奏、指導に作曲家も直接関わりコミュニケーションできるという
“ありそうでなかった企画”なのだそうです。

・タンゴアパッショナートでは、ピアソラの人物像を伺わせるリアルなエピソード披露がイメージを助け、
ピアノはただ小さくではなく気持ちのこもったロマンティックな表現を要求されていました。
どのような情景を思い浮かべればよいのかという子供たちからの質問には
「情景ではなくて、心臓の鼓動の盛り上がり」と答えられていたのが印象的です。

↑子供たちに限らず、ストーリーや思い描ける絵に置き換えて音楽をつくるのはひとつのアプローチ方法ですが、
“鼓動”(自分の内的な状態)をも表現していく、音楽にあらわせるものが
“自分から見た外側の何かだけではないこと”に出会えたら、楽しみと表現が広がりますね。


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・ファンファーレリズミック
ファンファーレの特徴は“並みの輝かしさでは物足りない、まわりを恫喝して巻き込んでしまう位の輝き”であると解説。
またマルカートの表現では音の最後に必ずTa-nと「n」の発音を加えることをアドバイス。つけない場合とつける場合の差異などもわかりやすいコメント付でした。

↑さて実際、こちらもこどもたちに限ったことではないのですが、nの発音を教えて身に付けてもらうのは指導に根気よい繰り返しが大切です。
自分もそうだったし今もサボルとすぐダサくなるんですが、慣れないうちはnをつけると同時に小さなgとかkも付録みたいに無意識にくっついてきてしまうのです(笑)。
nをつけるのがマルカートには必携ですが、それをしようとすると同時に「ンクッ」「ング」とアパチュアを握り込んでしまう場合ク(k)やグ(g)は根気よく消去する(笑)のが意識しなくてもできるまで練習を繰り返すのが大切です!

・青龍舞
場面の切り替えが鮮やかな曲、ソロでは邦楽的な揺れを十代の今の自分の表現で表してほしいとメッセージ。
会場にバンダを置く大編成版もあるそうです。
ソロを担当する学生の名前を覚えてらして紹介されてました。

・サイバートリップ
休符の度に息がとまることでフレーズのスピードが落ちていかないように、三拍子扱いではなくひとつぶりで…、フレーズのバトンタッチのさいテンポが遅くならないようにとアドバイスされてました。


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・ラグランジュポイント
金管セクションは大胆な?対向配置。
管楽器の指向性を生かすことが新しい吹奏楽の可能性を生むのではないかとお話され、密集した配置ではなくあえて分離した配置にすることによって指向性の変化があたえる効果が高くなるとのことでした。

◆それぞれカラーの全く違って面白かったです。後半三つの作品は“小編成だからコンパクトな…”“室内楽的な…”ではなく大編成と同じくらいのコントラストがのぞめて迫力ある響きが生まれるように作られたとのことです。



(もし自分が中学生や高校生に戻って小編成だとしたら“最初から最後までがっつりポリフォニー”な作品を体験したいかな~?と思います)


◆1時から5時くらいまで大ホールにはりついての見学でしたが、

学生さんの演奏技術が普段のご指導によりすでに高い水準に磨かれていること、

限られた時間の中、作曲家さんの言葉を
こどもたちにさらに噛み砕いたり置き換えたりして、
「今できる形」にして瞬時に伝えていく
各校の顧問の先生方の機転の早さも経験を感じさせられる場面で、

自分の勉強にもなったし指導の参考にしたいところが沢山ある、見応え聞き応えのある四時間でした。