ライブハウスの撮影について

2011.08.17 19:16:13

滅多にないのですが、最近立て続けにやったのでちょっと備忘録的に

先ず照明環境は最悪です
ISO3200で1/125 F4 位
普通のメジャーアーティストのライブだと
ISO1600 1/500 F4
3段も差がありますね

光源の色温度も3200kもありません
スライダックで落としているので2700k位になり
演色性も落ちています
なのでカラーフィルターを噛ませた光になると途端に色が飽和してしまいます

前述の通り、SSが遅いのでブレまくります
ブレるのが必至なのでその分シャッターを多く切ります
歩留りとしては半分はブレ、ボケでボツになり
更に1/4は絵としてボツとなります

場所もステージと客席が近いので撮影ポジションの自由度は無いに等しいです
大体他の方は後ろから高い位置で撮影します
そんな後ろでも300mmもあればバストアップが撮れるので問題ありません
問題があるのは客が画面に入りこんでしまう事です
全身のグループショットは先ず諦めなければいけません

楽屋も狭いのでライブ以外のカットを押さえるのも難儀します

撮影は元よりタレントをビジュアル的に良く見せる工夫がまるでなされていません
ただ特定のパターンで明滅してるだけです
ストリップの照明の方が良く考えられています

こんな悪条件で撮影するとセレクトがとても苦痛になります
あれもダメこれもダメと捨ててばかりなので自分の写真がとてもヘタに思えてきます
マトモに撮れているカットが照明に左右されてしまうので
同じ様なカットばかりが残る事になります

光源色がコロコロ変わっているので現像処理もカット事にパラメーターが違って
非常に時間がかかります
(スタジオなら色温度補正は1回か2回で全てのカットをバッチ処理出来ます)

ギャラ次第なんですが、正直受けたくない仕事のひとつです
しかし、ライブハウスでの撮影を依頼されて来る方々はそれ程のご予算はない方が大半です
(予算がある場合大きな会場でしっかりとした照明下で公演しますから)

なので私は基本ギャラを頂かない事にしています
(破格のギャラで撮影責任を負うのでは割りに合いません)
その代わり自分が撮影してみたいと思うアーティストのみお受けし
納品は私の都合に合わせてもらっています

キチンと相場に合った報酬が頂けるなら喜んでしますが、
上記の事を事前に説明し、雑誌で見るようなライブ写真は難しいとハッキリ言います

出来ない事は出来ないとハッキリ言うのもプロの仕事ですから