ギター&トランペットのフラメンコ・カンテホンド組曲。ところでカンテホンドって?な方に。

2009.04.23 8:06:02

中林敦真氏の編曲による、フラメンコのカンテホンドは組曲です。
中林氏からのレクチャーと、個人調査による勝手なカンテホンド解説にトライ!




■『カンテホンド、CanteJondo』はカンテのなかでもより本格的な「深い歌」という意味だそうです。
ホンドという言葉には奥深いとか、心が深いという意味もあるようです。
(スペイン語詳しくなくてすみません)


インドのカロ地方出身の移動民族に根源があり、回教コーランの影響を受けているもの



インド音楽では21拍などひとサイズが長いリズムだったのが、


スペイン南部のアンダルシアにはいって12拍のフラメンコに!
スペイン北部のフラメンコが主に舞踏が中心なのと比較すると南部のフラメンコはあくまでも『カンテ』(歌)が主役。

今回のフラメンコ、カンテホンド組曲は,スペイン南部のアンダルシアの古謡を題材に、中林氏が編曲してくださったものです。
カンテのなかでもよりアンダルシアの土地色が強いものですが、限定された地域にしか伝わり感じ取られないものというよりも……、今よりもさらに人種と文化のるつぼだったアンダルシアが生んだリズムと歌の出会いは、氾世界的な魅力をもっていて、奇跡のように私は思いました。


カンテホンドに限らず、カンテ、フラメンコ音楽全般にわたり大体は曲調(リズムのアクセントとメロディの関係)で分類された名前でよばれます。

私はコレルリのソナタをアルバムに収録しましたが、
サラバンド、ジーグ、アルマンドなど曲調で呼ばれているのと同じで、標題的なタイトルはほとんどみとれないのがフラメンコ。


カンテ、カンテホンドには歌なので勿論歌詞があるけれども、ひとつのカンテにさまざまなパターンの歌詞がつき、現地ではそれはほぼ即興的に歌い手が選択しているんだそうです。
なのでカンテはあくまでも歌なんだけど決まった、このメロディには絶対この歌詞がつくという対応した厳格なお決まりはないらしい。


つまりメロディは変わらぬテーマで、歌詞はわりと幅広くあてられているのです。
歌詞は曲のタイトルにはなりません。


カンテやカンテホンドのメロディは、メリスマとよばれるパターンを豊富に含む(装飾音や、四文の1音とかを含め、平均率ではわけきれない微細な音程の変化が一拍のなかに沢山はいる)ので、テーマになるメロディを知らないと編曲もなにもあったものではありません。

音源はすでに、即興的なメリスマが歌い手により任意にはいっていて、同じ曲でも違う個性で表現されているのが普通。


ガイドになるメロディをきちんと把握していないと組曲などで曲調の描き分けもできないわけです。

私が一個だけの音源をまるまるただ耳コピーして一生懸命楽譜作ってもカンテを再現したことにはならないんですね(笑)。
アドリブコピーの勉強にはなるけど自分のオリジナルな即興ではないという。
ジャズでいえばテーマを全く知らずにアドリブコピーだけやみくもにしているのと同じ状態になります(笑)。
カンテのテーマ集みたいな楽譜(歌本)探してみたけど私には発見できませんでした。
基本に共通するメロディを把握していて、
メリスマらしさをあらわしつつコンサートで繰り返し再現できる『楽譜』にまとめた中林氏。
さすが、熟成一年ものという楽譜がそろいました。


今回はこの『カンテ』役をトランペットが担当するのです。

組曲の更なる内容についてはまた次号♪お楽しみに。