源氏物語 Ⅱ

2008.11.28 14:49:33

三週間ほど前に一度源氏物語に触れた。
あの日から急にこの物語に関して、色々と思い出をめぐらすことが多くなった。

高校時代、初めて接した時は「古文」の教科書の中だった。
2帖『帚木ははきぎの雨夜の品定め』と4帖の『夕顔』が出ていた記憶がある。

大学3年の時、アメリカのノートルダム大学から上智大学国際学部に留学していたジョンとボブの二人と旅先で知り合い、半年後一緒に札幌オリンピックを見に行ったことから20人以上の留学生との交流に広がった。

しばらくして我が狭いアパートに10人以上のアメリカ人がやってきて朝まで過ごす事になり、そのうち論争が始まった。
早口で語り合う彼らの話は最初チンプンカンプンだったが、ジョンの通訳も手伝って少しづつ解るようになった。

彼らの論争は東洋(特に日本)と西洋人のアフターデス(死後)の世界観に付いての見解だった。
「恵介はどう思う?」と聞かれて、たどたどしく「魂は永遠に宿るとする君達に対して我々は『無常』あるいは『無』の死生観だ!あの世がある。」と答えてしまった。
そこから更に激しくなり、最後に一人が「ビコーズ、アイ・アム・クリスチャン」と答えてしまった。
ジョンがあわてて、「オッケイー、ここまで」と制し、「恵介、我々はこれ以上は突っ込まないんだ、違って良いんだ」とウインクをした。
他民族と多宗教の国民の知恵を感じる一瞬だった。

雨が降り始め、気分を改めて女の話になった!。
彼らはみんな日本人の女は「着物最高!奥ゆかしさが良い」と口にし、アメリカ人女性を馬鹿にし始めた。
彼らと同じ教室にガールフレンドの「ベッキー」がいる私は怒りながら「どうしてそんなに悪口を言うんだ、アメリカ人の女はイエス・ノーがハッキリしていて好きだよ」とすっかり女の話に花が咲いてしまった。
まさにその時ボブが笑いながら
「Oh!This is AMAYONOSHINASADAME,of GENJIMONOGATARI」と叫び、一同大笑いをした。

あの夜以来私は「源氏物語」を読破することにした。
あまりにも悔しかった、彼らは日本文学を色々勉強していた。
思い当たることがあった、「映画を見に行かないか?」と誘われ岩波会館に連れて行かれた、彼らが見た映画は私の知らなかった「安部公房」の英語字幕『砂の女』だった。

それにしても当時の谷崎訳の「源氏物語」は難しかった、彼らに対抗できた事と読み終えた感動だけが心に残った。
「男と女の機微?」
「そこまでは・・・・・!!!」どうでもよかった。