やっぱ写真はプリントしないと分からんな

2016.12.19 0:35:52

六本木の富士フィルム、写真歴史博物館で私に多大な影響を与えたと言う牛腸茂雄の写真展が開かれていました。
http://fujifilmsquare.jp/detail/16100104.html

私が牛腸茂雄を初めて知ったのはもう30年以上前になります。
何かの雑誌の記事だっと思いますがA4、1/4程度に小さく掲載された双子の写真が強く印象に残りました。
元々写真が好きでもなんでもなく、なんとなくカメラマンになってしまった私はフリーになって直ぐに何をどう撮れば良いのか分からず、その答えを見つけようと手当たり次第に写真関係の本を読み漁ってました。(ここで写真集を見るより写真評論を読むところが私の私たる所以です)

この人は不思議な写真を撮るなあ思い、色々と調べようとしてもさっぱり分かりません。
コマーシャルカメラマンはなかなか表に名前が出てこないので、この人もその類の人かと思っていました。(当時写真集は絶版でインターネットでも検索にヒットしませんでした)

きちんと知るきっかけとなったのは国立近代美術館で開かれた展示でした。
http://archive.momat.go.jp/gocho/gocho.html
(これももう15年前の話になるのですが)

もう衝撃でしたよ。
あんまりにもプリントが下手で笑
コレクション用プリントでなく印刷原稿としてのプリントなのである程度はしょうがないとしても。

そしてここで前述の富士での写真展に戻るのですが、
ここで見たプリントはかつて近代美術館で見た展示とは明らかに異質な感じがしました。
一言で言うとこのまま販売出来るほどプリントがきれいに仕上げられてる。
なんだ牛腸茂雄はちゃんとプリント出来るんじゃんと思ったのですが、なぜだか違和感なくするっと見終わってしまいます。
以前見た時は、一枚一枚心に刺さりずっと1枚を凝視してしまう、簡単には次の写真を見に行けない、そんな感覚がありました。

私の心も薄汚れちまったのかとなんか寂しく感じましたが、実は今回は三浦一人氏によるプリントだったのです。
https://www.1101.com/gocho_miura/2016-11-24.html

作家自身によるオリジナルプリントに何故価値がつくのか実感する出来事でした。